2018年6月23日土曜日


森林ボランティア育成講習第9期生 
開校式にて

 

栖島 安
 
 6月2日に第9期生の開講式が行われ、2年間の長丁場の講座がスタートしました。

 定員30名のうち提携している杉並区から15名、青梅から15名の枠の中で、ここ何年かは青梅市は15名を集めるのがやっと、逆に杉並は抽選という状況でした。

 しかし、今年は青梅市からの応募も多く、久しぶりに定員以上の応募があったようです。森林、青梅市にも大きな変化が起こったのでしょうか、このボランティア講座への関心が高まっているのでしょうか。

 従来、卒業生の多くが「森守会」という団体に所属しているようでが、どちらかというと定年後の年齢層が高めの方が中心になるのですが、今回の講座は、比較的若年層の参加をしていただき、関心の高まりの広さを感じる顔触れでした。

 

 午前中の座学は講座の内容と安全面の説明、そして現在の日本の森林の状況などの話がスライドを通して行われました。受講生から出た質問に「全国には全く整備されていない山はどれくらいの割合であるのか?」という問いがあり、未整備林の問題について高い関心があることがうかがえました。
 9期講座終了時にはこの答えの割合が少しでも改善に向かっている、そんな動きが増えることを期待します。

 

 座学後の昼食は夏日の青空の下、森林浴を目一杯に堪能し、午後からは実際に作業を行う青梅の森を歩いて一周しました。支給された新品のヘルメットをかぶり遊歩道を行くと、「山の中で避難訓練ですか?」と何も持っていない団体が同じ方向に歩いていく光景を見てハイカーの方に不思議そうに聞かれました…。

 最初の第一展望台では、天気は良かったのですがこの時期は「カスミ」がかかりスカイツリーは見ることが出来ず。すぐ下に以前の受講生が植えたもみじを見下ろし、「こんな急な斜面で講習をするのですか!」という声があがりました。

 その後、当たり前にこの樹木の「桧と杉の見分け方のレクチャー」があると、全く同じに見えていた植林した山に実は2種が混在している、ということに「初めて気づいた!」という声が上がっていました。

 シカの食害、熊注意の看板、雑木林の明るさ、などなど話していくとあっという間に時間が過ぎ、講座で間伐・枝打ちし継続して整備している活動の場所は殆ど素通り状態でした。2時間ほどかけて一周し、朝の集合場所に戻った後、最後に次回7月の暑さ対策が伝えられて初回の講座は終了となりました。

 今日初めて青梅の森を歩いたという受講生が殆どで、「青梅駅からこんなに近いところで行われているのですね!」という声が印象的でした。


詳細は:https://www.facebook.com/omerinken/

2018年6月16日土曜日


「全国植樹祭ふくしま2018」及び
      「全国林業後継者大会」に参加して

佐藤 優

去る6月9・10日、全国林業後継者大会と全国植樹祭にりんけんの皆さん11名で参加してきました。
 

私はどちらも初めて参加させていただきましたがとても良い経験ができました。

植樹祭前日の後継者大会では、活動発表で「先輩方から」「現役世代から」「次世代から」のそれぞれの世代の発表を聞かせていただきました。

印象に残ったのは現役世代の「NPO法人みなみあいづ森ネットワーク事務局、松澤さん」の材木を使う出口(消費者)から加工(材木業者)・生産(林業家)を輪のようにつなげる活動をしていて軌道に乗っている。という報告です。大消費地を抱えている西多摩地域の私たちにはとても参考になると思いました。

もう一つ印象に残った発表は、次世代の「天栄村立天栄中学校」中学生3人の発表で森林にかかわる授業を行っているが、村外の山や施設で行っていて、自分たちの学校の裏山があるのに、そこは除染された道しか通れず、山は立ち入れない。震災から7年がたち、これから入ってくる中学生は山で遊んだことのない子供達です。という悲痛な訴えです。

福島の原発事故の影響による汚染地域の第一次産業に携わる人々の苦難の思いを実感させられました。

植樹祭当日は宿泊した「いわき」から南相馬まで実行委員会のチャーターしたバスでの移動でした。あさ7時前に出発して、10時頃に現地到着、南相馬市原町区雫地内の浜に黒松の植樹をして会場入りしました。

天皇陛下が見えられるということで、飛行機に乗るような警戒の中10時半頃会場に入場して、13時35分の開会式まで小雨が時折ぱらつくなか昼食を取りながらひたすら待って、開会式を迎えました。天皇陛下が最後の植樹祭ということで、立ち会えたことは大変光栄でした。

式典を終え会場を後にするときも大勢の参加者(7000人?)がいたので、また、待って行列でという感じでした。考えてみると、林業は植林して育てて、成長するまでは次の代を見据えての職業です。仕事にあった行事だったのでしょう。

 
植樹祭の場所が福島ということで、実行委員会の方の全国から集まった私たちへの気遣いとおもてなしがとてもゆきとどいていて、前日の後継者大会と交流会、当日の植樹祭とも気持ちがとても伝わってきました。特に会場を後にする際、会場はもちろん、バスに乗る長い道のりにスタッフが切れ目ないくらい並んで声をかけていただいたことには感激しました。実行委員会の皆さんありがとうございました。

 
 
 
余談になりますが、南相馬からバスでいわきまで送っていただいたのですが途中大熊町、双葉町あたりを通っているとき高速から見える当たりの田畑が何も作られず荒れ果てていること、民家や道に灯りが燈っていない現場を実際に目の当たりにして、言葉を失ってしまいました。この現実はけっして忘れてはならないと思いました。