2017年8月31日木曜日

👉「開発途上国での仕事」と「森林ボランティア育成講座の受講」に、闘志を燃やしている佐藤向陽さんからメ-ルが届きましたので下記、特別寄稿として掲載します。
次回の寄稿を楽しみにしています。(管理人)




8回森林ボランティア育成受講生(H29.8.31
『特別寄稿』


ハイチの紹介



   森林ボランティア8期生の佐藤向陽です。私は仕事柄、日本ではあまり話題に上らない開発途上国へ行く機会が多いので、これまで訪れた国の様子やその国の森林をご紹介したいと思います。初回の今回はハイチ共和国(通称ハイチ)です。


外務省ホームページより
ハイチはニューヨークから飛行機で約4時間、カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島の西部に位置する国で、カリブ海諸国では唯一フランス語を公用語としています。因みに、イスパニョーラ島の東部にはドミニカ共和国があります。

  日本からの旅行先としてはあまり馴染みのないハイチですが、2010年の大地震や2016年のハリケーン「マシュー」による被害のニュースを耳にした方もいるのではないでしょうか。

   国土は約27,0002で北海道の約1/3ぐらいの大きさ。人口は約1,071万人(2015年)です。熱帯気候帯に属しているので気温が30度超える日も多く、ムシムシした暑さは日本の夏のようです。国土のうちの80%は傾斜地となっており、首都のポルトープランスを車で走ってみると、坂が多く、峠道の様にクネクネと曲がる道も珍しくありません。
 

 毎年のようにハリケーンが来たり、時には地震が起きたり、蒸し暑いといったところは日本と似ていると言えるのではないでしょうか。

 

一見樹木が豊富だが・・・
   そんなハイチの樹木を見てみましょう。街中や家の周囲にはマンゴーといった果樹や火炎樹、インドセンダンなど熱帯地方でよく見かける樹種をはじめ、様々な種類の樹木を目にすることができます。しかし、それ以外の場所はというと、草や低木がわずかに生えるのみとなっている土地が広がり、谷筋では土砂が流れたと思われる箇所を頻繁に目にします。
 


郊外はハゲ山が多い
  
 
   人が住んでいるところでは一見緑が豊富に見えるハイチですが、実はFAO(国際連合食糧農業機関)の2015年のデータによれば国の森林率は3.5%となっており、国土の約70%が森林である日本と比べると森林がとても少ない状況です。 

 

ハイチでは今でも日々の炊事に薪や炭を燃料にしている家庭が多く、自分たちで消費するための燃材や、炭を作って現金収入を得るために森林が伐採されてきました。さらに近年は人口増加が進み、この傾向に拍車をかけています。首都から地方に車を走らせると、岩肌の地面がむき出しになっていたり、草原のような中にポツリポツリと樹木が点在している光景を頻繁に目にします。


 
写真にあるような黄色のバケツ一杯の炭が25グルド(約40円)で販売されていました(ちなみに、庶民の昼食が100~200グルド、350mlのビールが150グルドです)。この量の炭を作るのにどのぐらいの材料が必要なのかはわかりませんし、どのように作っているのかも定かではありませんが、もしかしたら日本の炭作り技術が活かせる場面があるかもしれません。


黄色のバケツ一杯で約40

   もちろん、薪炭を得るための伐採だけがこの国の森林減少の原因ではないでしょうし、炊事の燃料を薪炭に頼っている人々に、「森林を守るために過度な伐採はやめましょう」と呼び掛けたり、伐採禁止のルールを決めれば森林が守られるほど単純な問題ではないと思います。

 
 日本もかつては森林が非常に少なかった時代や炊事に薪炭を用いていた時代があったものの、今では(質はともかく)量的には緑が豊富になっています。

日本とハイチでは自然・社会環境や文化的背景など異なる部分もありますが、日本の技術や知恵を活かして、ハイチの人々の生活を守ったうえで森林を増やす方法を見つけられると良いなと思います。

 

最後に余談ですが、同じイスパニョーラ島にあるドミニカ共和国は、ハイチと同じ自然環境にも関わらず、今でも緑豊かです。この国は炊事の燃料としてガスが普及している、政府が伐採を規制するなど環境保全に積極的なので森林が残った、といった理由をよく耳にしますが実際はどうなのでしょうか。機会があれば調べてみたいと思います。

なお、Google EarthGoogle Mapなどの衛星画像でみると、国境を境に緑の濃さがはっきり違う場所も見られます。皆さんも是非チェックしてみてください。